Authoritarian Today

Check the Authoritarianism out through foreign coverage
ロシア ハンガリー アメリカ 日本 ギリシャ イギリス ポーランド

南アフリカ共和国Jacob Zuma大統領の憲法違反、最高裁が認める

(Translated from "CNN", 31 March 2016)

南アフリカの Jacob Zuma大統領は、1500万ドルの国家予算を私邸の改築に投じた件について違憲の判決を下された。南アフリカ最高裁が木曜日に判決した。裁判所によれば、大統領は改築費のうちセキュリティの強化に関係がない部分について国庫に返納しなければならない。具体的な金額については大蔵省*1が決定するという。

f:id:nyaku37:20160406105834j:plain

(Photo quoted from "Wikimedia Commons")

裁判所は「憲法と法の支配、そして説明責任は権力者の不正を掣肘する強力な鉄槌である」とした。この判決によって、Zumaが大統領に着任して以来、7年にわたって続いたZumaの不正についての論争は一応の決着を見ることになる。

Zumaは大統領に着任した直後にこの改築に取りかかった。改築は水泳プール、畜舎、闘鶏場、迎賓館、そして円形劇場を含んでいた。野党は大統領による2件の巨額な予算執行について、不正であるとして告発に及んでいた。

Zuma大統領「判決に従う」

判決を受けて、南アフリカ政府は大統領が「判決に留意し、従う」意向を示していると表明した。また、「大統領は判決に従い、国家と政府の疑惑を解消するだろう。また、憲法のもとで行動し、他の政府機関とも連携して適切な行動をとっていきたい」と付け加えた。
最高裁は大統領の不正疑惑に関連して、調査のための国民議会を設置する決定を下している。「裁判所は本件について、国民議会を通じた解決を図ることを決定した。これは法相が大統領の責任を追求しないためであり、これは憲法を無視しているばかりか、違法といっても過言ではない」

事件の発端

2年前、独立の第三者機関「Public Protector」による調査によって、Zuma大統領がNkandlaの自宅を改築するために24億6000万ランド(1500万ドル)を消費したことが明るみに出た。Public Protetorは、Zuma大統領に対して改築費のうち身辺の安全に関係しない部分について「合理的な割合を負担するよう」勧告した。何が身辺の安全に関係するかは、やはり大蔵省が決定するべきだとした。

しかしZuma大統領はこれを黙殺し、友人には「しょせんは法的根拠のない勧告にすぎない」と語っていた。大統領邸を調査した警察は改築は安全強化のために必要であったと結論づけ、大統領を擁護する恰好となった。

しかし最高裁は改築の全部が安全対策のためだとはいえないとして、大蔵省に大統領の負担すべき金額を算出するよう命じた。大蔵省は60日以内に支払額を決定し、Zuma大統領は45日以内に支払いを行わなければならない。

高まる不満

この事件によって、大蔵相Nhalanhla Neneの罷免によって既に国民の不興を買っているZuma大統領は、さらに悪評を重ねる結果を招くことになった。
大蔵省がいくつかの議論が紛糾した予算について否認を決めた直後にNene大蔵相を罷免したことは、大統領は意のままにならない人物はみな排除する強権的な人物であるとの悪印象を国民に植え付けた。
否認された予算には南アフリカ航空エアバスの取引についてのものや、1兆ランド(5億ドル)にものぼるロシアとの核取引も含まれる。

拒絶された支払い

事件が混乱の様相を呈しはじめた時、Zuma大統領は改築費のうち一部を支払いたいと自ら申し出た。しかし野党はこれに反対し、事件を徹底的に追求する方針を固めた。

「Zumaは去らねばならない。Zumaは大統領の地位にふわさしくない」と語るのは、大統領を法廷に引きずり出した野党勢力の一角をなす「市場解放戦線*2」のJulius Malema党首だ。「大統領とその取り巻きらは、みな等しく失策を犯しました。国会も失敗です」

Malema党首は、今回の事件の発端となったPublic Protectorの権限の強化を認めないかぎりは、大統領からのいかなる弁済にも反対する意向を表明した。

反大統領派のリーダーであるMmusi Maimaneは、判決を「南アフリカにとって重要な転機になる」と評価した。この判決をきっかけに、Zuma大統領への弾劾手続きを進めるという。「権力の分立を認めれば、裁判所はこれからもいっそう、報復を恐れることなく本来の職務に専念できるようになるでしょう」Maimaneは語る。
「次の問題は大統領そのものです。大統領はいつも法の定めないところで放縦を重ねてきました。今こそは、弾劾の手続きを始める最大の好機だと信じております」

Zuma大統領の生家

Zumaはアパルトヘイト後の4代目の大統領だ。2014年5月からは2期目を務めている。

Zumaは生涯のほとんどをDurbanから北に240キロ離れたNkandlaで過ごした。Public Protectorが開始した改築への異議申し立ては、2009年のものにまで遡っている。当初は400万ドル程度の疑惑でしかなかったが、改築が進んだ結果1500万ドルにまでふくれあがった。

edition.cnn.com

*1:The National Treasury

*2:Economic Freedom Fighters