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アメリカ合衆国がポーランドに圧力:憲法裁判所問題をめぐって

アメリカ合衆国ポーランドに圧力:憲法裁判所問題をめぐって

(Translated from "Wall Street Journal", 4 March 2016)

ホワイトハウスは、ポーランド憲法問題を早期に解決するよう圧力をかけている。さもなければ、アメリカとの外交関係はたちまち冷却を余儀なくされるだろう、と。ポーランドの政府関係者は、より多くの同盟軍を受け入れようとするワルシャワの希望を削ぐような確執が現れたようだと説明した。

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(photo quoted from original article)

最近ポーランドを訪れたアメリカの外交官は、ポーランド政府に対してブリュッセルと人権団体の意向に従い、憲法裁判所の権限を縮小する最近の法改正を撤回するよう希望するというアメリカ政府の意向を伝達した。欧州評議会の補佐組織であるヴェニス委員会の暫定報告書はポーランドの動向を激しく批判している。この報告書の最終版は来週にも発表される予定だ。

昨年10月に政権交代を果たして以来、ポーランドの極右与党「法と正義」は憲法裁判所に政権と近い裁判官を送り込むなど、法の支配を形骸化させてきた。その結果、政府は前期の国会で野党と合意した公約を反故にした。

政権の行動は、今までは論争の対象であった市民団体による反対運動が提起する懸念を裏付けるものであった。憲法裁判所裁判官の法的地位は今や不確実なものとなり、数人の裁判官は既に職務への参加を制限されているという。

政権は既に裁判所規則を改正し、憲法裁判所が裁定を下し、またそれを執行するために必要な裁判官の数を増やした。これによって、裁判所が立法府に影響を及ぼすことはますます困難になり、法の支配は遠のいた。
ヴェニス委員会の暫定報告書においても、このことは憲法裁判所の裁定を遅延させ「憲法の番人としての役割を果たしづらくさせる」と指摘されている。

アメリカ政府の要求はポーランド政府をいらだたせているという。交渉を把握している人物が明らかにした。

「法と正義」党首のJaroslaw Kaczynskiは木曜日の夜、名指しせずに同盟国がポーランド政府の方針に敵対し、ヴェニス委員会の肩を持つことによって「嘆かわしい過ちを犯そうとしている」と声明した。

党首であるKaczynski氏はアメリカの要求を黙殺する意向を示唆している。Kaczynski党首は政府に役職を持たないが、木曜日、ヴェニス委員会の勧告についても「我々を拘束することはできない」とした上で「馬鹿げている」と非難した。

Kaczynski氏はさらに、いくつかの同盟国がポーランド憲法問題を「内政干渉によって国家主権の問題へとエスカレートさせた」と指摘した。政府は今回の裁判官の任命や裁判所規則の改正は完全に合法的であるとの立場だ。

ポーランドは7月のNATOサミットの主催国だ。ポーランド政府はロシアからの圧力に対抗するため、より多くのNATO軍を国境東部に配置することを求めている。これはNATOの抑止力を維持するための長年の懸案であった。

ポーランドは歴史的な脅威であるロシアから身を守るため、1999年にNATOに加盟した。しかし、随所で見られる二等加盟国として扱いに以前から異議を唱えていた。「法と正義」も国防力の強化を公約している。

国務省のMark Toner報道官は、ポーランド政府との交渉について詳細を明かすことはできないと前置きしたうえで、
「もし多くの問題についてポーランド政府と誠実な交渉が期待でき、相手方の外交が十分信用できるものであれば、我々は当然対話の席を設けているし、これからも対話は続くだろう」とした。この問題が米軍やNATOの軍事行動に影響を及ぼすかとの問いに対しては、Toner報道官は計画に支障は無いと述べるに留めた。
ポーランドNATOの同盟国だ。7月のサミットの成功を祈っている」軍事行動は継続するとした上で、「大統領が近日明らかにしたように、米軍は欧州への関与を深める予定である。ポーランドも例外ではない」とした。

憲法裁判所の問題が発生した先月、John Kerry国務長官ポーランドのWitold Waszczykowski外相をワシントンに招待している。当時、ケリー国務長官は問題を「国内の問題」として扱っていた。

アメリカは早い段階で懸念を表明していた。12月には、Toner報道官は国務省のニュースに出演し、ポーランド政府についての懸念を深めつつあると表明していた。

「どんな民主主義国家も、チェック・アンド・バランスの強力なシステムを欠かすことができない。司法の独立は必要条件だ」「これは立憲民主制と法の支配に対する重大な挑戦だ。事態の推移を慎重に見守っていきたい」と述べていた。

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