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オルバン首相、移民を語る―ハンガリーは今や、EUでもっとも安全な加盟国となった

オルバン首相、移民を語る―ハンガリーは今や、EUでもっとも安全な加盟国となった

(Translated from "Hungary Today", 4 March, 2016)

ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は金曜日、レギュラー出演しているラヂオ番組において、EU移民危機に言及しつつ「協調ある無策よりも、賢明な孤立主義のほうが望ましい」と述べた。

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(photo quoted from original article)

国営のKossuth Rádióは首相に対して、ドイツのメルケル首相がいくつかの国について「足並みを乱している」と批判していることについてのコメントを求めたため、首相は、ハンガリーは(訳註:メルケルが批判するところの)独立政策を選択した筆頭の加盟国であるが、それ故にこそ、今や何も出来なかったEUの中で唯一の安全な加盟国であると胸を張った。オルバン首相によれば、移民とブリュッセルの無策こそが欧州の発展と未来を危険に曝しているとのことだ。また、首相はハンガリー国境のフェンスはすべて国庫の負担で建設されており、EUは何の支援も与えてくれなかったとも述べた。

ハンガリーは欧州の轍を踏まない

首相はさらに、誰であれ適切な審査なしに国境をまたがせるつもりはないと強調した。「ハンガリーは移民によるフェンスの破壊、放火、暴動をいっさい許容しない。どんなギャングであれ、ハンガリーの女性、我々の妻や娘に手をかけることはできない」と語った。また、Sándor Pintér国防相に対して、この種の犯罪が発生し、あるいはその危険を察知した場合は直ちに対処するように命令したことを明らかにした。「この点に関して、ハンガリーが欧州の轍を踏むことはないと約束しよう。ハンガリーはこの先も、安全な生活が営める国であり続ける」

ハンガリーの国境線について、首相は現在の物理的な対策が効果的であると認めつつも、より長い国境線を囲うため、物理的に増強されねばならないとした。」対策の徹底はハンガリーの権威がルーマニアとの国境に万が一のことがあった場合に国境を「物理的に保護するために」欠かせないとした。

インタビューにおいて、首相は数百万もの移民をトルコから何の審査もなしに入国させ、島嶼部に到着した移民を本土に受け入れるギリシャの寛容政策を「理解しかねる」と表明した。

オルバン首相によれば、ギリシャこそがシェンゲン協定に違反して「難民の入国を許可し、問題は我々に押しつけた」のだ。こうした事態にも拘らず、首相はドイツを念頭に「ある国では、問題に正面から対峙せずに」未だにギリシャを擁護していると指摘した。

オルバン首相は、トルコとEUの関係、とりわけトルコ国民のEU圏内におけるビザ免除の問題についても言及した。首相はこの問題に関する政府の回答として、「もし将来において、我々ハンガリー人が誰にでもビザ免除を認める日が来るのであれば……ウクライナが最初にその対象になるだろう」と述べた。

ハンガリーはEUとトルコの合意を応援している。しかしその内容は不十分であり、個別の安全保障政策の必要性はまったく動かないとした。

ロシア軍のシリア空爆が難民危機の原因であるとするNATO軍の欧州司令長官による声明について質問されると、オルバン首相はロシアがシリア空爆を開始する以前から既に数百万もの移民が流入していると指摘し、「この点についてロシアを非難するのは理性的とはいえない。少し頭を使えば誰にでもわかることだ」答えた。

政府が準備している移民割当制の受諾に関する国民投票とそれを批判する欧州議会議長のMartin Schulzについて、首相は「Schulz議長はハンガリーの今までの主張を何一つ理解していない」と指摘した。ハンガリーは欧州司法裁判所に対して、12万人の移民割当の正当性について早期に判断を下すよう求めている。首相は今月中旬のEUサミットにおいて主要国は移民の割り当てについての恒久的かつ最終的な枠組みを決定しようとしていることを念頭に、国民投票は国民がハンガリーの未来を選択する機会であると強調した。

「私は絶対に、今までも今後も、一時的と恒久的との区別なく、強制的な難民割り当には決して合意しない」と表明した。

オルバン首相は、ユーロ圏の国家のみで運用される国際条約の枠組みの必要性を改めて主張した。現状のように欧州全体に単一の規定が適用される枠組みでは、今年中にもハンガリーのような非ユーロ国家にのみリスクを押しつけるような条約が可決されかねず、ハンガリーがユーロに加盟するには憲法に基づき国会の3分の2以上による批准が必要であると説明した。

週末に行われるスロバキア議会選挙の話題にも言及があった。オルバン首相は、スロバキアの同盟国として安定した均衡あるスロバキアこそが欧州レベルにおける連帯行動を可能にするとして、スロバキア南部に住むハンガリー人に選挙への参加を呼びかけた。
最近行われた欧州諸国の選挙については、「あまり元気が出る話題ではない」と切り捨てた。オルバン首相は、これらの選挙は状況をますます不安定化する結果しか招かず、欧州全体の長期的な弱体化を招くだろうと指摘した。

『パウロの子』の功績は山よりも高い

番組の最後に、オルバン首相はオスカー賞を受賞したハンガリー映画『パウロの子』について言及した。首相は2010年に政府が全ての法的責任とリスクを引き受けて映画の資金集めを支援したことを踏まえ、経緯の困難さを考慮すれば「Andy Vajnaの名前を忘れてはならないだろう。彼はもっとも勇敢なハンガリー人であり、混乱した制作現場に平和と正義、そして創造の気風を取り戻した」と語った。首相によれば、近年導入された新しいシステムによって制作されたハンガリー映画は既に130の国際的な賞を獲得しているという。

首相は映画の話題を「『パウロの子』の功績は山よりも高い」と締めくくり、監督と全スタッフの功績を褒め称えた。

hungarytoday.hu