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「トランプ氏はキリスト教徒ではない」フランシスコ法王が実際に述べた言葉とは

「トランプ氏はキリスト教徒ではない」フランシスコ法王が実際に述べた言葉とは

(Translated from "THE DAILY BEAST", 21th February, 2016)

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(Photo quoted from the original article)

保守派は翻訳の正確さに疑問を呈し始めている。バチカンの関係者は火消しに走り始めたが、法王は間違いなくトランプ氏の壁建設計画をキリスト教的でないと批判していた。

ローマ法王の専用機は、世界が法王のトランプ候補を批判したひどい発言で大騒ぎになる前にかろうじてローマに帰還した。トランプ候補がメキシコ国境に壁を(メキシコ政府の負担で)建設させると公約していることについて、「キリスト教的ではない」*1と批判した。

法王の真意は、保守派の論客たちが主張するように翻訳によって失われてしまったのだろうか。それとも、これはある種の謎かけなのだろうか。

政治評論家のJohn Leoは、法王の発言は誤解されていると主張している。「影響力ある人が突然驚くべき発言をした時は、まず翻訳を確かめるべきです」「ラテン語やイタリア語で思惟する訓練を受けた人々です。英語の正確なニュアンスを知らなかったのかもしれない」

ロイター通信の記者Phil Phullellaの質問はこうだった。「法王猊下、今日は移民問題について非常に多くの見解を伺うことができました。一方で、アメリカは今大変な選挙合戦のさなかにあります。なかでも、ドナルド・トランプ候補は最近のインタビューにおいて、猊下はまるで政治家のように振る舞っており、こと移民政策に関しては、メキシコ政府の便利なコマに成り果てていると発言しました。トランプ候補は、大統領に選ばれればメキシコ国境との間に2,500キロにおよぶ壁を建設し、1,100万人の不法移民をその家族と引き離してでも強制送還すると公約しています。お伺いしたいのですが、トランプ候補がご自身を批判されたことについてどうお考えでしょうか。また、アメリカのカトリック教徒は彼を支持すべきでしょうか?」

そして法王はこう答えた。「彼が私を政治家のようだと指摘したことについて、神に感謝を捧げねばなりません。アリストテレスは人間を"政治的動物"*2であると定義したからです。すなわち、私が人間であると認めていただいたことになるのでしょう。私がコマであるかどうかについては……そうですね……存じ上げません。皆様のご判断にお任せいたします」*3

「しかし、どこであれ橋を架けることではなく、壁を築くことばかり考えているような人間は、キリスト教徒とは呼びがたいでしょう。これは福音書の教えるところではありません。支持すべきかどうかとのご質問ですが、私はどちらの陣営にも与すべきではないでしょう。ただ唯一申し上げられることは、もし本当にトランプ候補がかかる発言をしたのであれば、キリスト教徒とはいえないということだけです。彼の発言が本当にこうした文脈において行われたのか、疑わしい点は彼に有利なように解釈して、よく見極めていただきたいと思います。」*4

トランプ氏の発言は、いかに好意的に解釈しても"こうした文脈"で行われたものであった。とはいえ、法王の発言は報じられているところとは大違いであることは明らかだ。発言の真意は壁を作る人間ではなく、壁を作るように煽り立てる人間を牽制するところにあったように思える。

バチカンの報道官 Federico Lombardi神父は金曜日、バチカン・ラヂヲを通じて見解をイタリア語で表明した。

バチカン当局による公式の英訳は以下のとおりだ。「法王の述べられたところは、我々がよく知っているように、ただ壁ではなく架け橋を築こうということだ。法王は移民問題について、ことあるごとにこうした言葉で融和と寛容さを呼びかけておられる。ゆえにこれは特段の問題ではない。福音書の教える連帯に沿った教えであり、人々を勇気づけるためのものだ。ともかく、特定の人物を攻撃したり、特定の投票行動を推奨したりするところは、法王のご本意ではない。」*5
「多くの報道はこれを無視しているが、法王はアメリカの大統領選挙に介入する意図がないことを明言されている。さらに、法王は大統領候補の発言を最大限好意的に解釈しようとも述べられている。」*6
「つまり、発言の全体的な真意は"寛容さ"にある。寛容さこそは現法王の最大の教えだ。法王の発言は、どうかこういう意味において解釈していただきたい。」*7

www.thedailybeast.com

*1:un-Cristian

*2:animal politicus,日本ではポリス的動物として知られている

*3:Thank God he said I am a politician because Aristotle defined the human person as an 'animal politicus' [a political animal]. So at least I am a human person. As to whether I am a pawn, well, maybe, I don't know. I'll leave that up to your judgment and that of the people.

*4:And then, a person who thinks only about building walls, wherever they may be, and not building bridges, is not Christian. This is not in the gospel. As far as what you said about whether I would advise to vote or not to vote, I am not going to get involved in that. I say only that this man is not Christian if he says things like that. We must see if he said things in that way and in this I give the benefit of the doubt.

*5:“But the Pope said what we all know, when we follow his teaching and his position: that we should not build walls but bridges. He [the Pope] has always said this, continuously, and he has said this about the issues of migration in Europe, many times. So it is not a specific issue, limited to this case. This is one of [the Pope’s] general attitudes, very consistent with what is a courageous following of the Gospel of welcome and solidarity. Of course, this was then raised, but it is not that the Pope wishes to be, in any way, a personal attack nor an indication of voting.”

*6:The Pope has made it clear that he would not enter into the [Presidential] election campaign in the United States and he has also said— which was not reported by many—if it were correct and true what he was told—he would give the benefit of the doubt over what had been reported about the Republican candidate’s expressions.  

*7:Therefore the key point is welcome—the building of bridges instead of walls – that is characteristic of this Pontificate.  It must be interpreted and understood in this way.