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世界から無視される安倍晋三(上)

世界から無視される安倍晋三(上)

(Translated from "The Japan Times" 13 January, 2016)

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大阪―安倍首相は新年に向けた声明において、国際問題の解決に向けて日本はより大きな役割と存在感を発揮してゆきたいとの決意を表明した。結構なことだが、日本が国際関係において成功した国家となるためには、日本は今までの外交のあり方を根本的に反省し、エネルギーと資金の使いみちを考え直す必要があるだろう。最大の問題は、日本の国際社会進出に向けた意欲と目標の大きさと、指導者である安倍首相の近視眼的な世界観のギャップにある。

安倍首相を含む日本の指導者たちは、以前から大なり小なり、国民の政治的無関心のうちに安住していた。

国連IMF、世界銀行や閣僚級の会合、そして特にG7において、日本の主張が耳を傾けられているとは言いがたい。安倍首相は精力的に各国を訪問して存在感を高めようと務めているが、この努力は今のところ"ひとり芝居"に終わっている。

IMFや世界銀行において、日本は米国に次ぐ第2の出資者だ。ところが、これらの国際機関を支配しているのは米国の Jack Lew、ドイツのWolfgang Schauble、英国の George Osborneといった財務大臣たちと、背後で暗躍する中国政府だ。日本の麻生太郎財務大臣は副首相に加えて元総理大臣でもあるというキーマンであるはずだが、実際には子飼いの日本のメディアに情報を流す以外の役割を果たしたことがない。

昨年春のIMFの会合において、日本は健康と福祉に関する重要な会議の開催国となった。麻生太郎は主賓席に座るはずだったが、遅刻し、到着したのは主要なプレゼンテーションが終了したあとだった。そのうえ、平易な英語によるスピーチを読み上げた後、たった数分出席しただけで取り巻きを連れて出て行ってしまった。このことはたちまち評判となり、日本は大いにその株を下げた。

数年前、ワシントンで日本の高官と話したことがある。彼は「会議は出席することが大事だ。だから我々は静かだし、居眠りも珍しくない」と述べていた。日本は同じような行動をパリで開かれた気候変動対策サミットでも繰り返した。この会議においては米中や主催国のフランス、EUのみならず、ローマ法王でさえ影響力を発揮していた。しかし日本は窓際でパリの空を眺めていた。こうして、安倍首相の国際公約は空虚なものとなっていく。

日本は、途上国支援を増額すれば国際影響力が得られると考えている。しかし、途上諸国の国民所得比で考えれば、日本の援助は米国からのそれと比して雀の涙ほどにすぎない。安倍首相は国際線を乗り回し、まるで新幹線や潜水艦を売りさばくスーパー・セールスマンのような存在に堕している。

安倍首相は海外の指導者たちの猿真似を試みているのだろう。ドイツのメルケル首相やフランスのオランド首相、そして英国のキャメロン首相にあこがれて。そのころ、中国の習近平はハイテク技術と核開発について英米との協議をこなし、ついでにお気に入りのマンチェスターFCを視察して帰っていった。

こうしたセールスマンごっこをいくら繰り広げたところで、日本が世界をよりよい場所にするための重要なプレイヤーとして尊敬される日はやってこない。最近、菅義偉官房長官は中東諸国について「関係悪化を懸念している。地域の安定のためにも当事者が自制し、対話を通じ事態を沈静化させ、平和的に問題を解決することを求めたい」と声明し、外交ルートを通じて自制を呼びかけると述べてみせたが、一体誰が耳を傾けるだろう?米国やEUがここ数年にわたって注力しているにも拘らず解決しない問題に対して、日本はどんなアイデアや経験を提供できるというのだろう。

安倍首相の支持者たちは「日本を普通の国にする」という首相の方針に諸手を挙げて賛同しているが…
(後編につづく)

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