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「テロリスト対策条項」ハンガリー政府は改憲を提案

「テロリスト対策条項」ハンガリー政府は改憲を提案

(Translated from Hungarian Today, 13 January 2016)

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ハンガリー政府は、いわゆる「テロリスト対策条項」を含んだ改憲案を提出した。この条項には緊急時における徴兵や国内における軍隊の戦闘配備を可能にする規定が含まれている。与党であるフィデス=ハンガリー市民同盟の党首代行Gergely Gulyásが防衛大臣István Simicskóと国政政党5党が臨席した会議において欧州の安全保障環境の悪化を踏まえつつ、基本法によって抑制されるべきテロリストの脅威について話し合った。

改憲案が可決されれば、政府はテロリストの攻撃を受けたときやその脅威があまりにも高いと判断された場合、国家非常事態を宣言できる。この場合、政府は憲法に抵触することなくいくつかの法を停止できる。非常事態宣言は60日間に限り有効で、議会が同意した場合のみ延長できる。また、議会は国内の治安対策のために警察のみならず加えて陸軍の動員を発令できる。改憲案は、国会の3分の2の同意を得て通過得する。Gulyás党首代行は、社会党が協議に参加しなかったことが残念だと語った。党首代行によれば、民族主義のJobbik党、緑の党も大筋では改憲に同意しているが、詳細を巡っての調整が続いているという。

民族主義のJobbik党の Előd Novák党首代行は、テロ対策のための改憲には同意するが、政府の提案の細部についてはまだ調査が必要で、今週中にコメントを発表するとしている。Jobbik党は類似の改憲案を昨年8月に提出していたが、可決には至らなかった。Novák党首代行によればJobbik党が改憲草案を手渡されたのは会議の数時間前であり、そのため、改憲によって人権*1侵害の可能性が生じないか確認するために時間が必要だという。また、Hovak党首代行はSimicskó氏が同党による志願兵団の創設と無料の訓練を供給する法案を支持していることを歓迎しているとも述べた。同党は、政権に対して国軍の海外派遣を控え、海外配備についても永久に実行しないよう注文を付けた。こうした海外任務に参加することで、ハンガリーがテロに遭遇するリスクが高まるという。

社会党(MSZP)は独自のテロ対策法案を準備しているといい、政府の改憲案はテロ対策として不十分であるうえ、議会による制御が失われると反発を強めている。 József Tóbiás党首は、政権は非常事態宣言時により多くの裁量を得ることにしか関心がなく、社会党は安全保障の強化の必要性は認識しているものの、オルバン政権のテロ対策を名目にした権力濫用には反対すると語った。

緑の党は政府のあらゆる権力強化に反対する。非常事態宣言には議会の同意を必要とせず、多くの自由権が制限される。共同代表のAndrás Schifferによれば同党は欧州の安全保障が試練の中にあり、その解決には軍事力が必要であることは認識しているため、改憲案の修正に向けて協議していく意向だという。ただし、テロの脅威を取り除くために非常事態宣言が必要だという説明が十分になされておらず、また、「高い脅威」と判断すべき基準も曖昧だと付け加えた。

János Áder大統領はトルコ共和国のRecep Tayyip Erdogan大統領にイスタンブールの歴史的地区で発生したテロについて哀悼の意を表明した。大統領は「トルコの平和がまたしてもテロリストによって妨害されたことを非常に残念に思う」と述べた。大統領はトルコに宛てた親書の結びに、ハンガリーはあらゆるテロリズムに強く反対していくことを強調して綴った。「同盟国と歩調をそろえ、テロリストによる卑劣な犯罪と戦っていく」と声明した。イスタンブールにおいて火曜日発生したシリア人による自爆テロにおいて、観光客を含む少なくとも10人が殺害され、15人以上が負傷した。

 

hungarytoday.hu

*1:訳註:Civi Rights,実定法によって担保されたHuman RightsはCivil Rightsとなります。